『クレスカ15歳 冬の終りに』
マウゴジャタ・ムシェロヴィチ:著
田村和子訳
1981年ヤルゼルスキ内閣が戒厳令を発動し、
国家転覆の意図が明らかになったとしてワレサ率いる連帯活動は弾圧されメンバーは拘束されたポーランド。
その後の、1983年の1月終わりから3月半ばまでの若者たちの物語。
それから6年後、東欧、特にポーランドは世界的な変動・改革の先き駆けとなり、「連帯」は合法化され、ワレサを首班とする内閣が誕生することになる。
しかし作者がこの作品を執筆した当時は、検閲のため「連帯」という言葉すら使うことができなかったそうです。
とはいえ、弾圧され暗く重苦しいというお話ではなく、
心温まる人と人の繋がり、若くて切ない恋、友人との強い絆、家族の愛情の物語です。
タイトルにある通り15歳のクレスカは祖父と暮らしています。
はっきりとは書かれていませんが、おそらく両親は「連帯」のメンバーで拘束されているのだと思います。
彼女は同じアパートに住むマチェクに恋しているけれど、マチェクは自分に媚をうる女性に惹かれていてる。
マチェクは次第にクレスカへの自分の気持ちを認識するのだけど、やっぱり自分をもてはやしてくれる女性のほうへ流れてしまう。
そんなマチェクに対し、自分の気持ちを抑えて
「わたしは黄銅ではない」
「自尊心の問題よ」
となどと言い、ベッドに突っ伏して泣くクレスカが凛々しくていとおしく感じます。
そして彼らの周りを走り回る六歳の少女ゲノヴェファ。
赤いベレー帽にブーツ。やせっぽちの小さな女の子でいつもひどく咳をしています。
突然現れてマチェクに付きまとうこの子は、知らない家へ急にお昼を食べに行くのです。
国と時代と環境が変わるとそういうこともありなのかな?
突然現れるけど、すぐに家族に馴染んで、無神経に(6歳ですから・笑)家族の話題に首をつっこみ、
でも結果としてクレスカとマチェクをはじめ、彼女に関わる人びとの心を開き、つないでいくのです。
わたしもゲノヴェファに「リラー」と大喜びで抱きつかれたいくらい可愛らしく感じます。
でも、彼女は彼女なりに悩みを抱えていて・・・・。
これは原題は『ロスウの中の阿片』というそうです。
阿片なんて言葉が出てくるとびっくりしちゃいますが、
読めばわかるタイトルです(・-・*)ヌフフ♪
ロスウは物語の中で度々出てくる家庭料理のスープのようですが、
なんだか美味しそう♪
身体も心も温まるスープって感じです。
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久しぶりに読んだこの物語。
わたしにとっての難関は名前でした|ω・`)プッ♪
だって、似てるようで発音できなさそうな名前ばっかりで、誰が誰だかわからなくなっちゃう。
でも、大丈夫。
だんだん、家族構成がわかってそのうち個性が輝いてきます。
主役のクレスカとマチェクは覚えやすいし・笑。
ポーランドにとっては激動の時代で若者が将来に不安を抱き希望を見出すことができなかった政治的背景のお話。
そんな中でも希望を持って生きること、家族や隣人・友人の絆のありがたさを強く感じました。
中学生以上向けの本だと思いますが、児童文学としてでなく大人が読んでも心温まる作品です。
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