2009-11

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『手紙』 東野圭吾:著

手紙


前略 元気ですか。
こっちはなんとか元気にやっています。



兄から定期的に来る手紙。それは刑務所からの手紙。

両親をなくしてふたりだけの兄弟の、兄が
弟をなんとかして大学にやりたいと必死に働くが、身体を壊し収入がなくなったとき、思い出した裕福な家庭へ泥棒に入ること。
それが、家人に見つかり、強盗殺人という罪を犯してしまうことになる。

兄のせいで、犯罪者の家族となってしまった弟。
しかも、兄が犯罪を犯した理由が自分のためという、なんともつらい荷を負ってしまう。
そして、兄のことが知れるたび変えなければならない仕事。
兄から来る現実離れしたかのような手紙。

刑務所から送られてくる手紙には検印が押されているため、
必死に隠してもふとしたことでそれを見られて知られてしまう秘密。


本の帯には

「我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる―すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね」


という、物語の後半で登場するある社長の言葉が引用されている。

確かに、犯罪を犯したものに対する「差別」というのは本来の意味(自分ではどうしようもないことで不当に扱われると言う意味)での「差別」とは違うのだろう。
でも、犯罪を犯した本人と、その家族とは別で、確かにそれを見て
「あぁ家族にあんな思いはさせられないな、犯罪はわりにあわないな」
と思い、犯罪を思いとどまる人もいるかもしれないけど、
それだったら犯罪者の家族は「みせしめ」みたいなものだし・・・それってやっぱり「不当な」差別でしちゃいけないことなんじゃないのかな、なんて思ったりしながら読みました。

最後に弟が下す決断、遺族との対面、兄の最後の手紙、
ここまでくると涙を我慢できませんでした。
切なくて、あぁどうしてこんなことになっちゃったんだろうっていう
やり場のない哀しさに、胸が締め付けられます。

兄貴―直貴は胸の中で呼びかけていた。
兄貴、俺たちはどうして生まれてきたんだろうな。

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