2009-11

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『きみを想う瞬間』 ジャクリーン・ミチャード:著

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久しぶりのジャクリーン・ミチャードでした。
原題は『Christmas,Present』。

3人の娘を持つローラとエリオットの夫婦。妻のローラは40歳。
夫のエリオットが今年の結婚記念日は14年目か15年目かで悩んでいるところから物語は始まるのです。
14周年はおおげさに記念するほどではないが、15周年となると一大事というわけで、
さてどちらと想定しプレゼントを用意したらいいのか?

エリックが贈ったのは二人で過ごすための夜の招待状(これが何かは読んでくださいね)。
けれどその帰り道、突然ローラが頭痛を訴え、救急車で病院へ運ばれることになってしまいます。
そして、医師の診断は「奥様は亡くなります」。残された時間は8時間か12時間か・・・。

12時間。

朝6時目が覚めて「あなたの命は今日の夕方6時までです」なんて言われたら、
私は家族はどんな気持ちになるかしら?と考えてしまわずにいられませんでした。

残された時間、ローラとエリックと3人の娘と、ローラの肉親たちはあまりにも悲しく、濃密な時間を過ごします。
もう直ぐ死ぬというのにこんなこと話しているなんて・・・と思いながら。

その時間の過ごし方で、ローラと家族それぞれとの関係が見えてきます。
ティーンエイジャーの仲間入りをしたばかりの長女、ローラと同じ体操が得意な次女、まだローラのことが記憶に残らないであろう年の三女。
夫を脳梗塞で失い4人の子供を女でひとつで育てたローラの母。
ローラの兄、姉、妹。

ローラは賢く聡明な女性で、不幸中の幸いとも言うべく彼女を診断した医師もとても頼りになるお医者様でした。
彼はローラとこんな会話を交わします。

「わたし、やり残していることはないでしょうか?」
医師は黙って考え込んだ。
「これまでたくさんの死を見てきました。・・・経験からいって、いちばんつらい死は、自分の人生を愛せなかった人の死です」
「私は自分の人生を愛しています。ささやかな人生だけど」
「それでも申し分のない人生ですよ。完結したとはいえなくても、生ききったという意味で。・・・わたしもそんなふうに強くありたいものです」



ささやかでも自分の人生を愛せること
とても素敵なことだなぁって思いました。
幸福や成功の尺度は人それぞれですし、人生に後悔がまったくない人もいないと思います。
それでも、自分の人生を愛せること、とても大切な教訓を学びました。

さて、エリックとローラの結婚記念日は12月23日でした。
記念日の贈り物は受け取ったローラですが、準備したクリスマスプレゼントはその翌々日の25日には家族の手には渡りませんでした。
翌年の10月、エリックはふとしたことからローラからのプレゼントを見つけます。
そこにはエリックに対するローラの気持ちが綴られていました。

私も大切な人をなくした経験があるので思うのですが、
思い出と悲しさと温かさといろんな気持ちがよみがえるのはこんな時ではないでしょうか?
思いがけない時に、故人の大切にしていたものや自分宛のものを見つけたとき、胸が切なく息が苦しくなりますよね。

エリックは苦労しながら3人の娘を立派に育てます。
この物語がローラの死で終わらずに、その後の家族の様子を描いていることで読んでいて救われる思いでした。

あとがきにもありますが、作者のジュクリーン・ミチャードは自身が夫を癌で亡くし苦労しながら子供たちを育てたそうです。
エリックとは立場が反対ですが、ローラの母ミランダとは同じ立場。
そのことを思いにとめて読むとさらに感慨深いのではないかと思いました。


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