2009-11

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『石の庭園』 モリ・モイナハン:著




悲しいストーリーだったのに、なぜか悲しみや苦しさよりもさっぱりとした読後感。

「花を摘むひと」キャンプ旅行でいっしょに泊まった夜、彼は私の肌に唇を押し当てて言った。「バラの花の香る、かわいいアリス。私は君を永遠に愛する」



主人公のアリスはニュージャージーに住む17歳の私立高校生。
恵まれた環境で育ち、愛する人たちに囲まれ、愛されて育った少女。
そんな彼女を悲劇が襲う。
幼馴染で親友のマシューがメキシコで殺害されてしまうのだ。
しかも、マシューが帰ったらふたりは結ばれるはずだったのに・・・。

彼がいなくなってしまっても、それまでの生活とはまったく同じに流れていく。
けれど悲しみは心を侵食していくのです。

物語の前半では、マシューは旅行先のメキシコで行方不明になったことしか分かっていないけど、
彼の骨が見つかり、追悼式が行われ、彼が戻ってこないことがアリスにとって確実になる。
マシューとの思い出が彼女を包み、それが彼女にとっては喜びでもあり悲しみでもあり、
誰もが愛する人を失ったときに感じるであろう「どうして?」と言う気持ちでいっぱいになります。
そして、突然息ができなくなったり、走る車から転げ落ちたりと身体的な痛みも感じながら、
その悲しみを乗り越えようとするのです。
でも、もうだめって思うこともしばしばで・・・><。
読んでいるとアリスの姿が目に浮かんできて本当に胸が締めつけられる思いでした。
行って、抱きしめて、「あなたの人生をしっかり生きて」と言いたくなりました。

でも、アリスはしっかりと自分で自分の生き方を見つけていきます。
卒業研究のテーマに刑務所の囚人たちに文章を書くことを教えることをテーマに選び、
そこでの囚人たちとの会話から何かをつかもうとします。
彼らとの会話はユニークで時々くすっと笑ってしまう場面もあったり、切ないシーンもあるし、
囚人たちがアリスを思う気持ちがとても温かく描かれています。

彼女を身近な人々も個性豊かで・・・
新しい友人のシグリド。彼女は幼いときに自分のベビーシッターが殺されるところを見てしまった。
母は亡くなり、父は病気、彼女自身はオペラをかいている。
担任(?)の教師はアリスの叔父と婚約していたが彼を戦争で失くし、今は同性愛者のパートナーと養子を育てている。
マシューの家族は変わった人ばかりで、ヒッピーでアルコール依存症だった母親とドラッグにおぼれる姉たち。
父と母の秘密。

アリスは大きな悲しみを抱えているけれど、彼女を愛し想う人々に囲まれてその痛みを癒していくのです。

アメリカのティーン・エイジャーは大変だなっておもう出来事もたくさんあって。。
切なく甘酸っぱく瑞々しい一少女の成長の物語でした。


こんなに愛されているなんて、不思議な感じだ。不思議ですばらしい自分の親が破壊的でひどい親だったとは、どうしたって言えない。大人になって、ガソリンスタンドに置き去りにされたり虐待されたり無視されたりしたと自叙伝に書くわけにはいかない。書き出しは「私は両親に愛されて育った」になる。だから、誰も私の本を買わない。


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